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英(はなぶさ)ちえり班長率いる、通学班の児童は全部で4名。
少子化に相応しく、小学校1年から6年までズラリと揃うことは珍しくなった昨今だが、彼ら彼女らは、朝から違和感を感じていた。
それは、班長である英ちえりに対しての違和感である。
長い髪を左右に縛り、毛束を左右とも垂らしている彼女は、何というか、軽やか、いつもより身軽な雰囲気だった。
もともと英ちえりは、小学校6年生女子の平均身長のそれに全くかすりもしないほど小柄であるということと、幼稚園からヒップホップダンスを習っていることもあり、小回りがきくのだが、それにしても、今日の班長は、いつもよりずば抜けて身軽に感じる。
「つぐみちゃん、おはよう~!」
ちえりは、クラスメイトの羽田つぐみを見付けると元気いっぱいに挨拶をした。
「おはよう、ちえり!……ってあんた……」
つぐみの身長は、ちえりよりも頭半分大きい。その、高低差を使って彼女はちえりの頭の後ろを覗きこんだ。
「あんた、ランドセルは? なんで、手ぶらなの?」
それだー!!!!!
ちえり以外の通学班班員は、冒頭から感じていた違和感の正体を、遂に突き止めることができた。
ひとりだけ、ランドセルしょってねえや。
「あ、わすれてたー!」
英ちえりは満面の笑顔で、そう答えた。
まあ、忘れちゃったんだから、しょうがないよね!うふふ。
で、済むものか!
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