01話「ちえり編」02(中に人はいまてん)

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ぬいぐるみがしゃべりだすや否や、立ち上がり、ちえりに向かって指をさす。 「【パステルガァル!】になって、世界の【色】を救ってくだたい!」 ちょっとイラッとするような語尾で、ぬいぐるみはちえりに、唐突にそういったのだ。 「うん!いいよ!」 ちえりは間髪入れず快諾した。まさに電光石火の反応である。打てば響くとはまさにこのことだ。 「え? ちょっと、はや!? 驚くとか、考えるとか、しないんれすか!?」 逆にぬいぐるみの方が反応に戸惑ったようだ。 「わかんない!」 ちえりは笑顔で答えた。 「いや、そもそも、ぬいぐみがしゃべってるのれすよ。そこまずは、突っ込まなきゃいけないと思うのれす。それで、【パステルガァル!】は結構過酷なのれすよ。敵が現れたら、眠くても戦いに行かなければなりまてんよ」 「これ、なんでしゃべってんの?」 ちえりはそういうと、白いぬいぐるみを足から掴んで宙ぶらりんにした。 「あ。ちょっとなんてことを!」 いきなり持ち上げられ、あわあわする、しゃべるぬいぐるみ。 「これチャックないね?」 ぬいぐるみの背中のわさわさとまさぐる、ちえり。 「うひょひょ!くすぐったいのれす!背中にチャックはありまてん!中に人はいまてん!つか、中に人が入っていたら、小さすぎれす!」 大きさはちえりの頭ほどだから、確かに中に入っているとしたら小人だ。 「ボクは【ぱれっと】といいまつ! 【パステルワールド】の使者なのれす!」 と、これからさばかれる鶏みたいな両脚宙吊り状態で、必死に、涙目で、【ぱれっと】は自己紹介した。 あまりにも惨めな、自己紹介だった。
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