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鳥は私が思っているよりも大きく、勢い良く私に向かって飛びかかる。
「ひっ!」
思わず座ってかわすと頭上すれすれを通り過ぎて行った。
「と、とにかく逃げよう……!!」
そう自分に言って鳥が飛んでいったのとは逆の方向へ走る。
走っていて初めて気づいた。私、靴履いてない!
当たり前だ。今まで自室にいたんだもん。
靴下でも今は逃げるしかないから、走る。
私にはあの鳥と戦う術なんてないから。走る。
それでも、飛んでいる鳥に私のちんけな脚力が通用するはずもなく。
私はあっけなく背中を掴まれてしまった。
――これが絶体絶命というやつか。
さよなら皆。
ごめんなさい、ミドナさん。あなたの伝言届けられませ――。
"すとん"
「へ!?」
空高く舞い上がっていた鳥に、振り落される。
というか、その鳥も私と一緒に落下していた。
でも今はどういう状況か、よりも……
「お、落ち」
………る!!!
打ち所が悪くなければ死なないだろう高さだけど、怪我はする高さだろう。
私は目をつむり、頭を抱えた。
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