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「で?本当のことは何なのよ。」
携帯を耳挟んで、腕にある時計を見る。
うん。この分なら電車に間に合うな。
と、思いつつ雨音は足を速めた。
「暇なのは本当だったのよ?現に、あたしの周りに誰もいなぁいし。」
「で?」
なかなか言わない、絢子に急かすように聞く。
「‥‥―。」
何も応答がない。
あたしは、絢子の名前を呼ぶ。
「絢子ぉ?」
「‥‥―。笑わない?」
少し間が開いてから、絢子が口を開いた。
「笑わない、笑わない。」
何のことかよくわからないが、雨音はとりあえず頷いた。
「‥‥―あのね?あんたが幕末にいたの。」
「はっ?」
雨音は、予想していない発言に、目を見開きついでに口もポカンと開けた。
あまりのことに、歩いていた足も止まった。
周りにいた人は、雨音を気にせず自分の目的地へと歩いていく。
雨音は、んっんんと、わざとらしい咳払いをして、また歩き出した。
「絢子ちゃん、何が言いたいの?ついにお馬鹿ちゃんから、イタイ子ちゃんに昇格しちゃった?」
雨音は、溜め息をついた。
それにたいして、絢子は必死に弁解をする。
「違うのよっ!!夢のはなしっ。」
「あぁ。夢ね。」
雨音は、ほっとした。
そろそろ、お医者さんを紹介しようかと、思ってたいたころだ。
「夢だけと本当なんだってっ!。あんたがいたの。幕末にっ!」
絢子は、だんだん声が大きくなる。
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