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「……理由は、お互い分からないんですよね」
「ああ」
レオルカさんは、この世界の人間ではない。イコール、知り合いもいない。頼れる人もいない。
しかも身分証明書も学歴も何もないから、働くこともできない。
顔は恐ろしいほどイイからホストとかの仕事に就けそうだが、性格上接待は無理だろう。まだ出会って間もないにも関わらず、不機嫌そうにそっぽを向きつつ接待するレオルカさんが鮮明に脳裏に浮かんだ。
いや、今現在もそうなんですけどね!
「……分かりました」
「何がだよ。原因か?」
「違います。これからの打開策についてです」
「……これから?」
「基本わたしは怠け者なんで、あまり面倒なことは好きじゃないんですよ。だから、」
「お前が出ていけ」
「まだ何も言ってないじゃないですか……!しかも違いますし!」
「……違う?」
「わたしは、一緒に住もうって言いたいんですよ」
なんだか結婚を申し込むプロポーズのようだが、実際は面倒事にしたくないという利己心と自己防衛からの発言である。
実に色気がない。
「………は?」
「事の発端――というか、貴方が一番最初に現れたのがこの部屋なんですから、何か手がかりがあるかも」
「……確かにな」
「だから、――」
「お前、よくそんなこと言えたな」
「……?」
気分を害してしまったか。そう思って様子を伺ったが、レオルカさんは感心したようにわたしを見つめるだけだった。
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