楽にしてください

4/5
前へ
/27ページ
次へ
「……どういうことですか?」 「よく我慢できるなっつー事だよ。俺みてえな醜い男にそんな事言えるなんざ、お前頭おかしいんじゃねえの」 「……………はい?」 この際、頭おかしいんじゃねえの発言は大目に――見ないが、まあ、スルーしてあげよう。 誰が、醜いだって? 「え、ちょ、ま、醜い?」 「なんだよ」 「醜いって――貴方が?」 「他に誰がいるんだよ」 「わたし?」 「は?」 「だ、だって、レオルカさんに比べたらわたしなんて目も当てられませんよ」 あ、自分で言ってて悲しい。 「……世辞なんかいらねえ」 「お世辞じゃなくてですね。そう言えば、ちょっと前にもそう言ってましたけど、レオルカさん鏡で自分の顔見たことあります?」 「……ねえよ。吸血鬼は鏡にゃ映らねえ。でも、自分の顔くらい知ってらァ」 「知って尚の発言ですか……!」 「何だよ、さっきから。何が言いてえんだ。嫌味か」 「……わたしからしたら、レオルカさんの方が嫌味です」 「ああ?」 「あのですね、レオルカさん」 訝しげなレオルカさんの目をまっすぐ見て、つくづくケチのつけようがない美人さんだと痛感。 「貴方、おっそろしいほど美人ですよ」 「……、は!?正気かお前、信じらんねえ!」 「正気も何も、こう感じるのはわたしだけじゃないですよ。絶対に百人が百人認める美人です」 「な、ちょ、」 「綺麗ですよ、レオルカさんは」 →
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加