昔、昔のお話

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「高虎。…これは何だ?……風花か?」 「…風花…?…いや、桜みてぇだな。この屋敷には桜はねぇけど…。近くの場所から舞ってきたんだろ」 「…桜…か。…秀吉様もお好きだったな。よく皆で花見や茶会をしたものだ」 吉継はあまり自分の願いとかを口に出さない 気を遣わせないようにっつう考えからなんだろうが… やっぱり懐かしかったりするんだろう 太閤様…豊臣秀吉様が生きていた頃が… 時々…吉継は見えてない筈なのに何処か遠くを見ている様な…そんな顔をする時がある そんな顔させたいわけじゃねぇのに… 「…行くか?花見にさ。ここから少し行けばいい場所があるからよ」 「…いや、私は関ヶ原で死んだことになっているのだろう。死んだ者が出歩くなど…」 「布でも被ってけば吉継だって分からねぇだろ。それとも…行きたくねぇか?」 「そんなことはないっ!…そうでは…ないが…私は君に迷惑などかけたくないんだ…。私を屋敷に置いているだけでも君には迷惑だろうに…」 「んなことねぇよ。俺の我が儘であんたを関ヶ原から浚って生かしたんだからよ。…あんたに恨まれててもおかしくねぇ」
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