あの人を、想いながら

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「…この場所だ。あいつと太閤様の茶会で会ったのは。満開の桜の花を二人で見てた」 「…そんな話はしていない。貴様が紀ノ助を連れ去っていたのか。俺はそれを聞きに来ただけだ」 「ああ。そうだぜ。吉継は確かに俺が浚ったってことになるんだろうな」 …ん………? 桜吹雪か? 今年もまた見事に咲いたもんだよな… あいつと見た時と変わらずに… 「…まぁいい。それよりあまり渡したくはないが…紀ノ助から文を預かっている」 「…吉継から?いつ出してたんだよ…。まさか…関ヶ原の後に出したものだっていうんじゃ…」 「…俺の手元に来たのは関ヶ原から一月程経ってからだ。気が向いたら白い虎に届けて欲しいということと俺宛の内容の文が来た」 「相変わらず…抜かりはねぇってことか…。吉継らしいな」 「読むも読まぬもお前の好きにするがいい。とにかく、俺は確かに届けたからな」 ああいう素っ気ないとこが石田らしいっつうか… 関ヶ原で勝ってもあまり変わらない生活をしているらしいしな 現在の天下は豊臣家 豊臣秀頼のもとにある これが…お前の望んでた天下か? お前は…守りたかったものを最期まで考えてたんだろ…? 吉継…
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