第一話

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     ◆001◆ 「ふぁ……ぁ」  目を擦りながら小さく欠伸を漏らす。  どうやら電車での移動中、軽く居眠りしてしまったようだ。  というのも、昨日は引っ越しの準備の為、遅くまで起きていて寝不足気味だったからだ。  まぁ、引っ越し自体は慣れっこなのだが……疲れる事に変わりはない。  幼い頃に両親を亡くした俺は、施設を転々としていた。  中学卒業を機に施設を出ようと離れた高校にしたのだが、そこは両親の古い知人の住む街だった。  その人の名は御先九郎という。  正直、見ず知らずの人と過ごす位なら、一人の方が気楽だと思い断わろうとしたが、なかば強引に俺は御先家に居候する事になってしまった。  先のことを考えると気が重い。  ……今更考えても仕方無いか。  等と考えていると、電車は目的地である天原市へと到着した。
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