1限目:おばけ の おうち

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「咲矢、あんまりひっつくな。気持ち悪い。」 「だ、だって・・・。」 「あはは、こうして見てると兄弟みたいだねー!」 「いや、こいつと兄弟なんて本当に虫酸が走る。勘弁してくれ。」 「ひどいよはるくん!」 そうこうしている内に問題の下駄箱に着いた。 下駄箱から門まではなかなかの距離があり、入り組んでいることもあって、残念ながらここから流依さんの姿は見えない。 「さて、確かあの靴は二年生のとこだったよな・・・。」 「うう、怖いよぉ・・・。」 咲矢は俺と望の後ろに隠れて、しっかりと俺達の袖を握っている。歩きづらいことこの上ない。 「お、この辺りだな。えーと、確か右下の・・・。」 「うーん、ドキドキするなぁ・・・。」 こいつ完全に楽しんでやがる。 えーと、右下、右下・・・っと、あそこか。 「・・・。」 「?晴彦、どうした・・・の・・・・・・。」 「「・・・・・・・・・。」」 靴が・・・、無い・・・。 「さ、咲矢・・・。えっとだな・・・。」 「・・・。」 「お前は、その、あまり見ない方が・・・。」 「・・・。」 「・・・咲矢?」 返事がないので、俺が振り返って咲矢を見ると、咲矢は顔を真っ青にしてどこかを見ていた。 「?何見て・・・」 咲矢の視線の先、そこはたった今俺達が通って来た道だった。 そこを見て、俺は意識が飛びそうになった。 咲矢はとっくに飛んでいた。 俺達の視線の先には、さっきまで踊り場にあったはずのローファーが、ひとりでに、こちらに向かって動いていた。
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