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「咲矢、あんまりひっつくな。気持ち悪い。」
「だ、だって・・・。」
「あはは、こうして見てると兄弟みたいだねー!」
「いや、こいつと兄弟なんて本当に虫酸が走る。勘弁してくれ。」
「ひどいよはるくん!」
そうこうしている内に問題の下駄箱に着いた。
下駄箱から門まではなかなかの距離があり、入り組んでいることもあって、残念ながらここから流依さんの姿は見えない。
「さて、確かあの靴は二年生のとこだったよな・・・。」
「うう、怖いよぉ・・・。」
咲矢は俺と望の後ろに隠れて、しっかりと俺達の袖を握っている。歩きづらいことこの上ない。
「お、この辺りだな。えーと、確か右下の・・・。」
「うーん、ドキドキするなぁ・・・。」
こいつ完全に楽しんでやがる。
えーと、右下、右下・・・っと、あそこか。
「・・・。」
「?晴彦、どうした・・・の・・・・・・。」
「「・・・・・・・・・。」」
靴が・・・、無い・・・。
「さ、咲矢・・・。えっとだな・・・。」
「・・・。」
「お前は、その、あまり見ない方が・・・。」
「・・・。」
「・・・咲矢?」
返事がないので、俺が振り返って咲矢を見ると、咲矢は顔を真っ青にしてどこかを見ていた。
「?何見て・・・」
咲矢の視線の先、そこはたった今俺達が通って来た道だった。
そこを見て、俺は意識が飛びそうになった。
咲矢はとっくに飛んでいた。
俺達の視線の先には、さっきまで踊り場にあったはずのローファーが、ひとりでに、こちらに向かって動いていた。
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