1限目:おばけ の おうち

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「「「ぎゃあぁぁぁ!?」」」 俺達は廊下を、食堂とは反対方向へ全力疾走した。 「なんなんなんなんだよあれ!?なんで靴が勝手に動いてんだよー!?」 「知らないわよ!?ていうかどこに向かってんのよこれー!?」 「どこでもいいんだよ!とにかく走れー!」 咲矢は完全に気を失ってしまったため、俺がおぶっている。 ええい、世話の焼ける! 「あっ!晴彦、あそこ!部屋があるよ!」 「よし、飛び込むぞ!」 俺達は勢い良く部屋に駆け込んで、ドアを閉めた。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」 「な、なんとか、振り切ったわね・・・。」 「ああ・・・。しかし、一体なんだったんだあれ・・・。」 「やっぱり、お、お化け、なのかなぁ?」 「そんなバカな・・・。」 お化けだなんて、そんな非科学的なものが・・・。 「う、うぅーん・・・。」 そのとき、気を失っていた咲矢がようやく目を覚ました。 「!咲矢、大丈夫!?」 「う、うん。だいじょう・・・」 咲矢は、心配する俺達の後ろ、ドアの方を見つめたまま、固まった。 「・・・さ、咲矢・・・?」 「・・・。」 「・・・望さん望さん?」 「・・・なんですか晴彦さん?」 「わたくし、なぜか猛烈に嫌な予感がするのですが。」 「あら偶然。わたくしもですわ。」 「どうでしょう、せーので同時に振り向いてみるというのは?」 「まあ名案。そうしましょうか。」 「ではいきますよ・・・。」 「「・・・せーの!」」 俺達は同時に振り向いて、同時に悲鳴をあげた。 ドアの前には、先ほどのローファーを履いた、小さな女の子が立っていた。 俺が今にも失神しそうになったとき、ドアの外から大声が聞こえた。 「千沙ちゃんっ!!」
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