1限目:おばけ の おうち

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「続いて、本校の学生寮についての説明に移りたいと思います。」 「ちょうど始まったみたいだな・・・。」 俺達は説明会の邪魔にならないよう、コソコソと席に戻った。 そう、今日俺達は、この学生寮についての説明を聞きに来たのである。 冥京高校は全寮制で、第一寮から第七寮まで七つの学生寮があり、俺達はその内の第七寮に入ることになっている。 本来なら寮に入るお金など微塵もない俺達だが、この第七寮だけは特別だった。 「学生寮についての説明は、各寮の寮長から個別にさせていただきます。各寮の説明会場は、お配りした資料に記載してありますので、指定された会場へ移動してください。」 「寮長!?ってことは、流依さんに会えるのか!」 俺は一人で歓喜した。 「はるくんって、本当に流依さんが大好きなんだね。」 「バカ言え。俺の流依さんを崇める気持ちは、好きだなんてそんなありふれた言葉じゃ片付かん。ああ、流依さま神さま女神さま・・・。早くあなたの元気なお姿が見たいです・・・。」 「あ、あはは・・・。」 咲矢が苦笑いしている。まあこの「元」大金持ちに俺のこの流依さんに対する熱い気持ちは理解できまい。 「でも本当に流依さんって良い人だよねぇ。美人だし頭も良いし、女の鏡よねー。」 望がうっとりしながら言う。女の自覚があるなら少しは食生活を見直そうとは思わないのか。 流依さんとは冥京高校の三年生で、俺達が入る冥京第七寮の寮長である、橘 流依(たちばな るい)さんのことである。 俺達は三人とも、様々な都合により文無しで住む場所、食事にも困っていたところを流依さんに拾われ、冥京第七寮に入ることになった。 いわば流依さんは命の恩人なのである。 「でもすごいよね。家賃、おまけに学費までタダの寮なんて」 そう、冥京第七寮の売り文句が、「寮生は寮の家賃、光熱費、学費に至るまで全てタダ!(多少訳あり)」というものである。 タダで住む場所が確保でき、学校にも通えるなんて、なんて良い話なんだろう。 訳ありだかなんだか知らないが、多少の問題なんてALLタダに比べたら屁でもない。 というかお金の無い俺達は、それしか生きる道がなかったわけで・・・。
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