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女の元雇い主、男の2番目の愛人と客の話を思い出す。
「ママは※手池の魚だからな」
「まぁ、失礼ね。※2手活けの花にして頂戴」
オホホホ、と気取って笑うママに客の男は更に言う。
「心配じゃないのかな、ママみたいな綺麗な女の人に男相手の商売をさせて」
ママは笑いながら客に言った。
「男の人は何人女がいてもまだ欲しいのよ。貪欲なのよ。だから私のことをものにしたらもう釣った魚に餌はやらないのよ。それが私の男よ」
雇い主の女は客に水割りを差し出す。
客の男はふーん、そんなもんかねぇ、と笑う。
自分も同じなのだ。
手ずから餌をやる魚。
自ら活けた花。
男はそうやって自分の池を増やし、魚を養う。
自分で花を活ける。
まだ欲しいの?
女は心で泣いた。
※手池の魚(テイケノウオ)
自分の手で魚を養うの意味から、妻や妾の意。
※2手活けの花(テイケノハナ)
手池の魚と同様。
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