手活けの花

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「あなたって馬鹿ね。いくら此処に美しい女を雇わなくても」 元雇い主はカウンターの中にいる若い小女に目をやる。 「あの人はいくらだって見つけるのよ」 元雇い主の女は遠くを見る。 元雇い主に教えて貰った店はトアロードに近い雑貨屋だった。 新しい女の店が夜の商売じゃなかったことに女は驚いた。 「いらっしゃいませ」 入ってみると、窓から入る太陽の光と黄色の照明で明るい。可愛らしいオランダの木靴をモチーフにした小物が並べられていた。 流行ってるのか、若い女達がたくさんいた。 店員は皆、揃いのフォークロア風のゆったりとしたワンピースを着ている。 雑貨屋の奥はカフェとなっていて、手作りであろうスコーンやドライフルーツを使った焼き菓子を並べている。 「いらっしゃいませ、お一人様ですか」 こう言われて顔を上げると見知った顔があった。
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