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男がいうようにもう少し綺麗な女を置こうと、女もそう思う。
しかしそれはしない。
絶対にしなかった。
女には解ってるのだ。
綺麗な女を置けば、その女を男が口説くのを。
自分がそうだったのだから―
女はこの店の前、元町のラウンジにいた。
その店はやはり男の愛人の店だった。
元町のラウンジの前は女は新地にいた。
新地で働くにはとうがたちすぎ、元町に移ったのだ。
でも本当は違った。
前の男とキレたのだ。
男の庇護のもと暮らして、まだその場所で働くのも女にはきつい仕打ちだった。
男から与えられる着物、男から与えられる金、宝石。
そんなものが永遠に続くなんて女も思っては無かった。
しかし、そんなに早くキレるなんて。
僅か一年で終わった。
同じ店の女に男を奪われたのだ。
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