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行き場所を失い女は喘いだ。
まるで水から引き揚げられた金魚のように。
魚は水から出たら口をパクパクとする。
しばらく女は普通の仕事をしようとした。
しかし無理だったのだ。
私は魚と同じ。
水から引き揚げられた金魚と同じ。
呼吸が出来ないのかパクパクする金魚を見て女は思う。
また女は金魚を鉢に戻す。
この金魚は男が持って来た土産で唯一の食べれないものだった。
酔った男の酔狂で、街の中をリヤカーで引っ張る金魚売りの親父から買ったのだと言う。
珍しい。
女がそう言うと男は面倒くさそうに言う。
「なんだか酔った勢いで買っちまったんだよ」
女は金魚を飼う為の本を買った。
そして中に入れるビー玉や可愛らしい鉢も。
ヒラヒラとレースのような尾を持ち、泳ぐ金魚はまるで自分と同じだ。
女は考える。
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