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女は元町で働ける店を探した。
30過ぎの女にはキャバクラもきつく、クラブは客を持っていないときつい。
小さなラウンジに面接に行く。
スナックに毛の生えたような店だったが、時給はまだ良い。
最初はアルバイトからスタートし、一ヶ月後に正式に採用になった。
雇い主の女は美しい艶やかな女だった。
50をとうに超えているだろうが、着物姿の襟元がたおやかで艶めかしい。
たまに男が訪ねて来て、女に話しかける。
そうすると雇い主は男が帰った後、睚をキッと上げ言うのだ。
「あの男は女にだらしないのよ。ダメよ、若いんだから。引っ掛かっちゃ」
その数ヶ月先に女が男に店を出して貰ったのを知った雇い主の女はどう思っただろう。
自分の男を盗られたと思っただろうか。
女はほくそ笑む。
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