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女の店は割合流行っていた。
近くにはラブホテルと言われる連れ込み宿があり、そこに行きたい男達が女を口説く為にカップルでやって来たりする。
「どうだい、いいだろう…?」
男達はカウンターの下でそんな女達の膝を撫でる。
女は男に口説かれた時を思い出した。
目の前に自分の囲う愛人がいるのに、男は堂々としたものだ。
指で膝を撫でる。
その指は“の”の字を描くようにスカートの裾に近づく。
女は小さな溜め息をついた。
前にいる雇い主にバレないように、そっと。
その溜め息を聞き、更に調子に乗ったのか男はスカートの裾を割って手を入れる。
ストッキングの上から太股をそっと撫でる。
女の溜め息は更に大きなものになる。
それだけ触りながら男は「じゃあ」と言い、帰って行ったのだ。
そして雇い主の女は言う。
「あの男は―」
解っている。
解っていたのだ。
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