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「ただいま」
誰ひとりとしていなかった空虚な空間に女性の声が寂しく響く。
彼女は一人で住むには些か大きすぎるような家に足を踏み入れた。
彼女が止まると物音一つしなくなる。
やはり、三年という月日を持ってしてもこの寂しさを完全に消すことなど出来なかった。
いや、例え一千年経とうと一万年経とうとこの寂しさが完全に消え去る日は来ないのかもしれない。
彼女はこの言いようのない不安に身を震わせながらも必死に笑顔を作りそして、呟くのだった。
「お父さん、お母さん、私生きているの凄く楽しいよ。ありがとう」
誰にも聞こえない。
しかし、あの事故以来何かのまじないのように毎日毎日呟くのだった・・・
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