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卓は答えられなかった。
こんなに醜い独占欲や嫉妬心を、愛と呼べるだろうか。
「正嗣も、卓を愛してるんでしょ」
手持ちぶさたで立ち尽くす正嗣に、杏奈が問う。
「…ああ」
正嗣があんまりあっさり認めてしまうので、卓は驚いた。
「遂に浮気宣言したわね」
杏奈が卓から離れ、正嗣に向き直る。
「正嗣さんなんで…せっかくここまで…!」
卓は正嗣に詰め寄った。
その様子を見ながら、杏奈が豪快にベールを脱ぎ捨てた。
「あーッ!スッキリした!!」
突然の大声。
場内にいる誰もが驚いた。
「これで思い残す事なくパリに行けるわ」
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