続・チャペル

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予定ではもっと軽々と走り去るはずだったのに、ウェディングドレスは意外と重い。 息を切らせて廊下を駆け抜け、なんとか控室前までくると、 ドアに、スーツ姿の男が寄りかかっていた。 「…呼んでないわよ」 「うるせえ」 言葉は悪いが、関の声は穏やかだ。 黙ってしまえば、杏奈の息だけが廊下に響く。 「りゅう」 呼吸の合間に、声を挟む。 「あんたなんか大嫌いだけど…二人の事、教えてくれてありがとう」 それ以上は喋れなかった。 止めどなく大粒の涙が溢れ、嗚咽が喉をふさいだ。しゃがみこむ杏奈を、関が横目で見る。 「本当にこれでよかったのか」 「…わかんない」 関が杏奈に合わせてしゃがんだ。骨ばった手で杏奈の背をさする。 「ちがくてさ。やっぱ俺が、意義あり!って花嫁を拐うべきだったかなって」 優しい冗談。 「ドラマの見すぎ」 杏奈は顔をあげて、泣きながら笑った。
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