プロローグ

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桜。 桃色の花弁がふわふわと舞う。 体育館からは春の訪れと祝辞が、機械音混じりに聞こえてくる。 門扉には達筆に『入学式』。 そう、今日は京浜付属中学校の入学式の日だった。 式の真っ只中、正門から続く満開に花開く桜並木の下でひとりの少年が佇んでいる。 ゆらゆらと重力によって落ちてくる花びらに彼は手を伸ばした。 「退学、かあ……」 それは手をすり抜けて、地面に新しく落ちた。
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