一話

3/6
前へ
/52ページ
次へ
リリィは幼い頃に、売られていた。 お金持ちの家のメイドとして働いていたが、それは建前で、実際には奴隷の様な扱いを受けていた。 ろくに食事も与えられず、ザンザスが助けた時には、小さく痩せて、着ている服はぼろぼろだった…。 ザンザスの、過去が蘇って来た。 自分も9代目に拾われる迄の生活は荒んでいたな。 「リリィ、お風呂の用意が出来たわよ~。」 ルッスーリアが声を掛けた。 「はい…。」 バスタブに身体を沈める…。 リリィの身体には、無数の傷が付いていた。 「痛っ…。」 傷口にお湯が染みる。 痛みを堪えて、身体の汚れを落としてゆく…。 ルッスーリアが用意してくれた服に袖を通す。 「これ…?普通の服かなぁ?」 …どう見てもこれって下着じゃないかなぁ…? とにかくその服を着て、リリィはザンザスの元に戻った。 「おにい…ちゃん。」 いつもの様にザンザスは、ソファに座って酒を飲んでいたが…。 リリィの姿を見て口に含んでいたブランデーを、勢いよく吹き出した。 「ぶっ…。何だ?その服はぁ~?」 「え…?でもこれが用意してあったから…。」 「おい!オカマ。テメェ何考えてやがる。」 「あらん、可愛いじゃな~い?」 「へぇ~。ルッスーリアにしてはいい趣味なんじゃね?」 ベルが口を挟んで来た。 「か…可憐です。」 レウ"ィはいつもの調子。 「ざけるな。此処には男しか居ねぇんだ。リリィのベッドは俺の寝室に用意しておけ。」 「んま~、ボスったらまさか…?」 「ふざけるな。俺の傍にリリィは置く。」 ウ"ァリアー基地内で、ザンザスの言葉は絶対的だった…。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

163人が本棚に入れています
本棚に追加