一話

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ザンザスの寝室に用意されていたリリィのベッドは…。 天蓋付きの、これまた金と白で統一された乙女チックなベッドだった。 無論ルッスーリアの趣味だった。 「これ…?」 「あぁ…。オカ…ルッスーリアの趣味だろうよ。相変わらず悪趣味だぜ。」 「素敵…。」 「気に入ったのか?」 「うん。あたし…此処で寝ていいの…?」 おどおどしながら、リリィは聞いた。 そのリリィの様子を見て…。 ザンザスは胸が痛んだ。 何故? もっと早くに救えなかった? 何故? もっと早くに判らなかった? ただ…取り返しのつかない過去を、悔やんでいたのだった。 「お前はもう何も怯える事はない。もう寝ろ。」 「おにいちゃん、ありがとう。」 そう言って、リリィはザンザスの頬にキスをした…。 ふっ…―――! この俺が、柄じゃねぇな。リリィが愛しいなんて。 妹ってのは、こんなにも可愛いものなのか? リリィは、ふかふかのベッドに横たわった。 ―――…静かな寝息が、聞こえて来た。 安心したのか…。 ゆっくり休め。リリィ…―― 眠るリリィの頬にキスを落として、そっと部屋から出て行った…―。
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