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昨夜の豪雨など嘘のように、青い空が視界に広がる。
本日は、晴天なり。
テュラサの城下街には、とても腕が良いと評判の薬屋がある。
ここへ、調理の際に酷い火傷を負った母親を診て貰いたい為に、一人の少年が朝早くから訪ねていた。
「お姉ちゃん!カルヴェスお姉ちゃん!!早く出て来て!!」
少年はまるで樹木に巣穴をこしらえる啄木鳥(キツツキ)のように、何度も扉を叩いては、薬屋の主人を呼ぶ。
路地にはまだ、人の影はない。
「あんまり叩くんじゃないよ、穴が開いちまうじゃないか」
かちゃりと鍵を外す音と共に、扉がキィと軋んで開く。薬屋から出て来た一人の若い女の姿を見て、少年はほっとため息を漏らした。
「お母さんが火傷しちゃったんだ!お願い、僕のお母さんを助けて!!」
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