魔法のオーブン

3/4
前へ
/8ページ
次へ
魔法、と唸ったのは、目の前のオーブンの事で……。 開ければ、なんと 全部完成して出てくるのである。 味も、間違いない。 オレの味だ。 積んだ修行の中で探り当てた、オレの味だ。 「あ、いい匂いしてると思ったら、マフィンすか?」 できたてホカホカマフィンをひょいと取り上げ、迷わず口に運ぶこの男。 美声年のくせして、三度の飯より甘いものが好き。 モテモテなくせして、かわいこちゃんとのデートより新作スイーツ巡り。 宮島 春樹 ミヤジマ ハルキ 24歳。 「体に似合わず、繊細なもの作りますよねー」 口いっぱいにマフィンを頬張り、オレをじろじろ品定めするみたいに眺めやがる。 .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加