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「月並みな質問ばかりで恐縮ですが、いくつかお伺いしてよろしいですか?」
「うん、いいよ。でもね、ボクもお姉さんに質問していい?」
「はい? わたくしに、万楼さんが質問をなさるんですか??」
「お姉さんがボクにひとつ質問をしたら、ボクもお姉さんにひとつ質問をするんだ。ダメかな?」
「それは構いませんけれど……」
「決まりだね」
heliodorのリーダー・紅朱から正式に取材の許可を得た日向子は、まず最初に各メンバーへのパーソナルインタビューを行うことにした。
今月はまずベースの万楼、ドラムの有砂、キーボードの蝉からそれぞれ話を聞くつもりで、その中で最初に取材の予約がとれたのが万楼だった。
「このお店をよくミーティングに使われてるそうですわね?」
「それが最初の質問? そうだよ。ボクが入る前からだから聞いた話だけど、ここのカフェは元々玄鳥のお気に入りだったらしいんだ。お姉さんも好きだったなんてびっくりだね」
そこは日向子がよく美々と来る店……あの、紅朱たちと初めて遭遇した店だった。
「ボクたちが集まるのはだいたい夜が多いから、お姉さんたちと一緒になる機会は少なかったかもしれないけど、いつかここで会っていたかもしれないなんて、すごい偶然だよね」
そう言いながらメロンソーダをストローでかき回し、そして、ちらっと日向子を見る。
「……運命を感じない?」
「ええ、本当に。ではまたわたくしの番ですわね」
「……流されちゃった」
「はい?」
「なんでもないよ」
万楼はそしらぬ顔でマロンプリンをスプーンですくう。
万楼の目の前にはメロンソーダとマロンプリンの他にも、洋梨とチェリーのカスタードパイ、ミントを添えたチョコレートムース、熱々の特製スイートポテト、そして単体でも迫力十分なジャンボフルーツヨーグルトパフェがテーブル狭しと並んでいる。
一方の日向子はレアチーズケーキと紅茶を頼んだだけだったが、その光景を見ているだけで胸がいっぱいになりそうだった。
「スウィーツがお好きですのね?」
「うん。大好き。みんなが色々言うから普段はこんなに頼めないんだけどね。本当に、ここのは全部おいしいんだ。そういえば、そのチーズケーキは玄鳥も好きだって言ってたよ」
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