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「……その、万楼にインタビューした時、あいつ妙なこと言ってなかったかなって……」
玄鳥が万楼の名前を口にした途端、日向子は何故か感心したように首を何度も上下した。
「やはり万楼様のことをお気にかけていらっしゃいますのね」
「え?」
「万楼様と玄鳥様はらぶらぶでいらっしゃるのですよね??」
「……はい?」
「わたくし、何も隠されることはないと思いますの。殿方同士が仲良くされることは別に恥ずかしいことではないですもの!」
「あの、すいません……日向子さん、それは一体……」
だんだん腹でも痛いような顔付きになってきた玄鳥に、日向子はいつものように曇りのない今日の天気のような笑顔を見せた。
「お二人は『できて』いらっしゃるのでしょう?」
「でき……」
玄鳥は一瞬意識が宇宙の彼方に放り出されるのを感じた。
「……な、何言ってるんですか!? 薮から棒に!!」
「まあ、慌てて否定なさることありませんのに……」
「否定します!! 断固として否定します!!」
顔を赤くして抗議する玄鳥に、日向子はますます楽しそうに微笑んだ。
「ご謙遜なさらずに。わたくしから見ても、お二人はとても仲がよろしく……」
「いや、だからそれはッ、あくまで同じバンドのメンバーとして……!」
「はい、同じバンドのメンバーとしての深い信頼関係が『できて』いらっしゃるのですよね?」
「……え? あ、それはまあ……」
「ですから、万楼様は玄鳥様のことをよく知っていらっしゃいましたのね。
ということは、逆に万楼様について知りたければ、玄鳥様にお伺いすればよいのではないかと思いまして……」
いきなり予想外の急カーブを切った日向子に呆然としていた玄鳥だったが、続く言葉で一気に我に返った。
「練習後、もしご予定がないようでしたら、お食事でもしながらお話をお聞かせ頂けませんか?」
「はい……! 喜んで!!」
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