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《第2章 悪夢が眠るまで -solitude-》【1】
硝子の瓶を引っくり返す。
ばらばらと夕立のような音を立てて、カラフルな原色の包装紙に包まれたチョコレートが、白いシーツの上を飾り立てる。
――赤が6つ
青が4つ
黄色が4つ
緑は2つ
……ああ、ちゃうわ
3つやった
これやと余ってまうな
ほんなら余った分は
ジブンのやで?
下に向けていた顔をあげると、そこには「彼女」の姿はなかった。
今までいたはずの「彼女」のかわりにいたのは
――分けなくてええんよ
それは全部
あんたのやから
氷つくような、憎しみの眼差し。
――けど
あんたがいなくなれば
全部「ありさ」のんやんな……?
――……えっ
視界がぐるっと回る。
すぐ近くからあの眼差しが突き刺す。
――さよなら、佳人……!!
そして、その眼差しとそっくり同じ光を宿したナイフの切っ先が、ためらいもなく、直線的に、振り下ろされた。
――どう、して? ……あ……り……さ
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