《第2章 悪夢が眠るまで -solitude-》【1】

1/7
前へ
/406ページ
次へ

《第2章 悪夢が眠るまで -solitude-》【1】

 硝子の瓶を引っくり返す。  ばらばらと夕立のような音を立てて、カラフルな原色の包装紙に包まれたチョコレートが、白いシーツの上を飾り立てる。 ――赤が6つ   青が4つ   黄色が4つ   緑は2つ   ……ああ、ちゃうわ   3つやった   これやと余ってまうな   ほんなら余った分は   ジブンのやで?  下に向けていた顔をあげると、そこには「彼女」の姿はなかった。  今までいたはずの「彼女」のかわりにいたのは ――分けなくてええんよ   それは全部   あんたのやから  氷つくような、憎しみの眼差し。 ――けど   あんたがいなくなれば   全部「ありさ」のんやんな……? ――……えっ  視界がぐるっと回る。  すぐ近くからあの眼差しが突き刺す。 ――さよなら、佳人……!!  そして、その眼差しとそっくり同じ光を宿したナイフの切っ先が、ためらいもなく、直線的に、振り下ろされた。 ――どう、して? ……あ……り……さ
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加