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《序章 太陽の国へ -Let's go,Rock'n'Role lady-【1】》
「わかりました。もう、お止め致しません。でもいつか、いつの日か必ず」
涙を飲み込んで、言の葉を紡ぎ出す。
「わたくしをあなた様の花嫁にして下さい……そう、約束して下さい」
こんなにもこの心を悲しませるのだから。寂しくさせるのだから。
「では、レディ。あなたはいつか、あなたの力でこの伯爵めに会いにいらっしゃい」
「わたくしの……力で?」
「その長い月日の間に、あなたはかけがえのないものをいくつも見付けるでしょう。それを全て手放す覚悟があると認めたなら、私はその時……あなたをさらっていきます」
あなたがここに残したものは、冷たく光る銀の月。
そして、たったひとつの約束。
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