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それから暫くは少女が黙りこくってしまった。
何でここにいるの?
何をしていたの?
おうちには帰らないの?
いくつも疑問は浮かんだけれど、僕も黙ってその場に立ち尽くした。
―――ザワ…ザワ…
波は行ったり来たりを繰り返す。
飽きることなく永遠的に。
未来永劫、揺らがない…
そんな風に思ってしまうように。
「…お兄さん」
その一言が余り不意打ちで
勢いよく振り返る。
「…明日もここに来てくれる?」
震える声で少女はそう告げた。
それが余りに健気で儚げで…
気付けば僕はそう呟いた。
…大丈夫だよ、と。
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