第一夜

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-ガチャ…- 私はいつものように任務を終わらせると、ベットとテーブル、イス…… それにクローゼット、と生活に必要最低限のものしかない部屋に戻る。 だが、こんな部屋でも私は此処が1番落ち着く場所だと思う。 これ以上に居心地のよい空間なんてないだろう。 まぁ…この部屋を見て、可哀相などと言う人は居るが…… 別に可哀相ではない。 私は『AKUMAを壊すためだけにある道具』と、自分自身で思っているから。 …これが普通。 『…………』 ゆっくりと、ベットに腰かけて…まだ太陽の光が差し込んでいる窓を見る。 そして、暫く見ながらぼーっとしていた…その時だった。 「こいつアウトォォオオ!!!」 『!!』 外にいる門番の声が響き、私は咄嗟に窓を開けて… 窓から飛び下りる。 落下地点は、ちょうど門番の上。 『…一体だけ、ですか。』 下にいる白い髪をした少年を見下ろすなり、私は自分のイノセンス…天ノ薔薇【ヘブンリーローズ】を取り出す。 ふと、隣に気配を感じた。 ちらっと見ると、同じエクソシストの…… 確かティエドール部隊に所属している青年… 神田 ユウと言ったはず。 その神田が隣にいて、物凄い殺気を出しながら刀を抜いた。 「一匹で来るとは、いー度胸じゃねぇか…」 「ちょっ、ちょっと待って!! 何か誤解されて…」 少年が何かを言っていたが、神田の方は聞く耳を持たず飛び下りる。 そして、ドン!!!っと凄い音を出しながら刀で少年を斬った。 ……終わった、と私でもそう思った。 だが。 『……あれは…?』 少年の腕が、大きい…何かに変化した。 そして神田の一撃を塞ぐ。 それはまるで、手だけど…指先が鎌のようで…… 何なんだろうか、あれは… まさか…イノセンス…? いや、しかし…あの少年はアウトだった筈…… 一体、何事…? 暫く、私は考え込んでいたが…… その疑問は神田が少年に与えた質問により、しばしの間消えた。
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