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黒田と竜胆は焼津の町で待ち合わせた。
竜胆
「社長お待ち申しておりました」
黒田
「修さんありがとう」
合流した二人は早速富士の見える場所まで移動した。
黒田
「ほ~なる程」
黒田は駐車場の車止めの上に乗り手をかざして富士を見つめた。
しばらく辺りを見渡していた黒田が急に竜胆の方に振り向いた。手は既に膨らんだポケットの中だ。
黒田
「修さん悪いが富士をバックに写真を一枚撮らしてくれない?」
竜胆
「ああ、いいですとも・・・」
竜胆と黒田が立ち位置を交換する。黒田はポケットから携帯を取り出しデジタルカメラのレンズを竜胆に向けた。
パシャ
一枚の写真が撮れる。
竜胆
「もういいですか?社長」
黒田は女の子の写真と竜胆の写真を見比べる。
黒田
「あ~いいよ。・・・後ろの建物は違うが確かにこの近辺で撮られた写真のようだな・・・間違いない」
竜胆がそこへゆっくりと近づいて来た。
黒田
「修さん間違いないようだよ。ところでお腹減らないか?ちょっと港まで行って美味しいもんでも食おうか」
竜胆
「それはいいですけど、何か調べ物に来たんじゃないんですか?」
黒田は何も言わず、竜胆を無理やり市場へと連れて行った。
定食屋に入った二人の前には美味そうな真っ赤なマグロ丼が二杯並べられている。
黒田
「修さん何か臭くないかい?」
竜胆
「えっ!?このマグロが?私にはそんな風には思えませんが…。とびきり新鮮で美味しいですよ」
黒田
「いやマグロでなくて・・・あの依頼人さ」
竜胆
「依頼!?あっこりゃまた失礼。てっきりこのマグロの事かと・・・。…で何をそんなにお疑いなんで?」
黒田は丼を持ち上げるとマグロ丼を勢いよく平らげた。
黒田
「あの写真さ」
竜胆
「写真と言いますと・・・ああこの写真でありますね」
竜胆は黒田から預かっていた写真を取り出した。例の少女の写真だ。
黒田
「不思議だと思わないか?この写真…。何故制服姿の少女がここに居るんだ?」
竜胆
「そう言えばそうですね。彼女の学校は神奈川県ですし、もし遊びに来るとすれば私服でくるのが普通ですね」
竜胆も疑問に思ったのか写真を見て首を傾げていた。
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