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黒田
「その通りだ修さん。初めこの写真を見た時は学校の近くで撮った物だとばかり思っていたが、場所が判明して不思議に思ったんだ。修学旅行って事も考えられんし、尚且つ部活の遠征なんかだったら友達なんかと写っているだろ?明らかにこれは二人だけの時に撮られたもんだ。調べたい事ってのはこの街の港にある」
竜胆
「港ですか」
二人は席を立ち店の外に出て行った。そして、その足で焼津の港へと向かった。
港では漁を終えた漁師達の家族が投網をゆっていた。そこへつかつかと黒田が近寄って行く。そして、しゃがみ込んで網を結っている1人の老婆に唐突に話しかけた。
黒田
「どうも今日は!今日もいい天気ですね~」
老婆
「あ~こりゃどうも」
老婆は挨拶し終えると再び網を結い始めた。他の人達も黙々と網を結っている。
黒田
「いや~昔、ここの漁師の間々下さんに世話になってね」
老婆がその名を聞いてまるでその人を知っているかの如く顔を上げて黒田の顔を見た。焦った竜胆が黒田を肘でつつく。
竜胆
「ちょ・・・ちょっとちょっと社長・・・」
老婆
「あ~間々下さんかい。間々下さん家の船ならあれだよ…。ほら、あそこにあるあの竜神丸さ」
老婆は竜神丸と書かれた船を指差した。黒田たちはその指された船を見る。唖然としていた竜胆が黒田の顔を覗き込みながら言った。
竜胆
「社長これは一体・・・?」
黒田
「いや~今日はちょっと旅行に来ただけでね。ありがとうごさいます。頑張って下さい」
黒田は漁師一家に別れを告げた。彼らは軽くお辞儀をして旅人に敬意をはらう。
黒田
「やはり・・・ドンピシャって所か」
竜胆
「社長間々下がこの街の人って事は・・・。中学時代の石橋智子を制服姿のまま連れ出したのは間々下健一って事になりますな・・・」
黒田
「・・・まあいい、とりあえず帰りましょう
事務所へ」
竜胆
「・・・へい分かりました。でも、間々下と智子さんどう言う関係なんですかね?探偵として依頼人と尋ね人の関係を詮索するのはタブーですけど今回だけは・・・」
何やかんや言いながら二人は駅に向かって歩き始めた。
事務所に帰ると、達屋望が帰って来ていた。
達屋
「お帰りなさい。詳細が分かりましたよ」
達屋が来た早々立ち上がって言った。
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