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例えば、言葉を発するタイミングが重ならなかったり、おんなじ方向を向いていたり。
指差したものが被ったりしたら、どんなに幸せを感じるのかな。
「チャンミンは、夏休みいつまで?」
んー?なんて間延びした声を上げて、9月一杯、と短く答えた。
9月一杯、いいなぁ、大学生は。そう溢すユチョンにチャンミンは顔を向けることなく、はは、と笑った。
ワンルームの小さなマンションの部屋の中では、大きなベッドが主役だ。その他、本棚やクローゼットに入りきらなかった洋服や帽子、テレビやパソコンは、どこか窮屈そうにしている。
広くもないが、一人で暮らすには決して狭くはないこの部屋の造り。
なのに人間までも窮屈を感じるのは、部屋に置かれた家具類のレイアウトの問題であろう。
そんな部屋の中央に置かれた折り畳み式のテーブルを挟んで、ユチョンとチャンミンは向かい合って座っていた。
「にしてもこの部屋狭いなー」
ぽつりと呟くユチョンの大分失礼な発言に、チャンミンは下を向いたまま笑う。
「悪かったですね、」
「だいたいバランスが悪いんだよ。ベッドの大きさが一番変だ!!」
「しょうがない、足が長いですから」
む、と押し黙るユチョン。テーブルの向こうでは、チャンミンの足が窮屈そうにあぐらをかいている。それを見て、自分の短い足を見て、ため息を吐いた。
「ずるい……」
そう溢すユチョンに、チャンミンが視線を向けた。メガネを少しずらしたチャンミンの瞳がユチョンを捕らえた。
「ユチョンも直ぐに大きくなるよ」
そう言って、はにかんだような笑みを溢すチャンミン。
上目遣いでユチョンを見たままもう一度うん、と頷いて再び手元に視線を落とした。
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