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どれ程時間がたったのだろうか、チャンミンはふとまどろみの中から覚醒した。
しかし、目を開けるのが億劫で、瞳を閉じ車の揺れにその身を任せていた。
まだ宿舎につかないだろうか、
そんなことを考えている中、ある違和感を覚えた。
妙に、寂しい。
空気が、冷たい、
いつの間にか自由になった片手。
求めてるのはそれじゃない、そんなものじゃないのに。
チャンミンは瞳を閉じたまま、その手は温かい手のひらを求めてシートの上をさまよう。
でも、手のひらはいつまでたっても温もりを得られず、チャンミンはまぶたを上げた。
隣には、彼の姿は、ない。
チャンミンは車内を見渡したが、それでも脳裏に浮かぶその姿は見つけられず、チャンミンはただ一人。
徐々にはっきりとしていく思考の中、何度も何度も辺りを見直し、ふとチャンミンは顔を赤らめた。
―今日は、一人の仕事だった、―
幻をみるほどに彼の事を恋慕っているのかと思うと、恥ずかしくて仕方ない。
誰にも見られてないとは分かっていながらも、チャンミンは口元を手のひらで覆った。
それでも、チャンミンには恥ずかしさよりも恋しさが優っていた。
帰ったら、たくさん温めてもらおう。
早く宿舎につかないかな??
2011.10.02#end
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