F1を語る「詩」

1989年

～ED～

89年、速く走ることがすべての男が、政治の壁に突き当たり、蹴落とされようとしていた。
問題は、ルールにあるのではない。
それを適応する人であり、方法である。
アーギュメントはもういい。
僕達は素晴らしいレースを見たいのだ。

セナが正式に走れる事になったのは、90年2月16日の事であった。

F1。
瞳眩きもの、眉秀でしもの達が駆け抜ける一瞬は、空にある星よりも鋭く、私の心を射抜く。

F1。
鮮やか色の硝子細工。
目眩く白昼夢。
迸(ほとばし)るエキゾーストノート。
全てがセクシー。

神と話して自分の道を進む。(セナ)
自由自在、人の心をも動かす。(プロスト)

飛ぶように坂を登る巨大な星。

祈る。嘆く。昂る。平和。静寂(しじま)。怒濤。

人間の営みだからこそ、F1は素晴らしい。
僕達はレースと共に大人になった。

※使用曲…People Get Ready / Rod Stewart and Jeff Beck