終章

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むしろ狭霧は、澱姫の存在を長く隠匿し続けた罰として、彼女を押しつけられた側である。 処分は覚悟の上だったので、狭霧はそれを甘んじて承諾した。比古と若子の仲をよく知るからこそ、別段断る理由も彼にはない。 ただ、大人たちの勝手な都合で将来を決められるよりも、自然な流れで比古たちには幸せになってほしかったというのが狭霧の本音だろうが。 上の目論見はあくまで、宮野の家に霊力の強い次代を残すことだ。 出自はどうあれ、神の力で生き返った若子ならばその霊的な力に申し分はなかった。 だから宮野と釣り合いの取れる家の養女とし、その人生を固定したのだろう。 「手放しで喜んでいいのかどうなのか」
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