終章

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宮原が呟くと、沙紀は笑った。 「本人たちが先に惚れた腫れたで仲ようなったんやから、これはもう渡りに舟や」 そう思うときましょう、と陽気に言われて、宮原は軽く目を見張る。だがすぐに、そうだな、と頷いた。 それと同時に、メールが届いた。 まるで報告書のようなメールを送信し終えた高城は、空を見上げた。 広いだけで遊具のない公園のすみにあるベンチで、彼は小さく息をつく。 「斎……」 風に溶けるような呟きに、 「なぜ本人をそう呼ばん」 突然横から問いかけられた。柄にもなくうわぁと声を上げて、高城は身を引いた。 「た、平良さん……」
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