終章

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名を呼べば、ほれ、と缶コーヒーを渡される。受け取ると、平良は意地悪に笑んだ。 「菊理(きくり)の奴が橘の次男坊を婿にした……と斎に知らせたのか? で、お前は内心で先を越されたと焦っておると?」 「ち、違いますよ」 声に動揺がにじんでいないと、いったい誰が言えようか。それでも高城は平静を装って、コーヒーを開けた。 平良は隣にどかっと座る。 東京での怨霊騒ぎは、十二神将の助けを借りてどうにかなった。 以前高城との縁談話があった小野家の長女、菊理は、先の戦闘で一時生死の境を彷徨った。だが、今は回復に向かっている。 その彼女が、まだ全快ではないのに橘の次男を自分の籍に引っ張り込んだ。 ……というよりは、橘の方が熱烈に申し出たのだが。
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