終章

13/34
前へ
/2509ページ
次へ
が、たとえ大丈夫か、な新婚でも、近くにいるだけでちょっとした焦りは感じるものだ。 だが、高城はあえて平静を装う。 「うらやましいとは思います。けど、あっちはあっちで、こっちはこっちですから。焦ってもしょうがないでしょう」 「同感だ」 自分の分の缶コーヒーを開けながら、平良は告げた。 「お前の場合、急いては事を仕損じる。斎の男嫌いは、簡単には治らんだろうからな。下手に事を運べば、また発作を起こしかねん。そうなってはフランスの魔術師が殴り込みにきそうで怖い」 わざとらしく肩をすくめる平良に、高城は苦笑いを返した。確かに、怖い。 「まあ、うまくやれ。万年人員不足の業界だから新しい人材がほしくもあるが……」
/2509ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3266人が本棚に入れています
本棚に追加