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そして、そこに通じるドアを開けてしまった。
それが、魔界への入口だとは知らずに。
開けた瞬間、夕斗は眩しい光に目を細める。
屋上には、夕日とフェンスを背に立っている宮原がいた。
赤茶色の髪を結い上げて、彼女は凛と佇(たたず)んでいる。
その秀麗な美貌は作り物にも見えた。
『先生?』
歩み寄った夕斗が声をかけた瞬間、宮原は琥珀色の瞳を開く。
夕斗は知らぬ間に息を呑んだ。
宮原の瞳が、朝方とはまったく違う鋭さと威圧感を持ち合わせていたから。
それよりも、纏う空気がまるで別人だった。
それに驚いている夕斗に向かって、彼女は衝撃の言葉を放つ。
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