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夕斗は、いつの間にか自分を襲った犬を撫でている宮原を見上げた。
――教師だよなこの人!?
誰かに問い質(ただ)したい衝動に駆られる。
ただの教師に見えないのは自分だけだろうか。誰かに同意を求めたい気分だ。
夕斗が坐ったまま驚愕していると。
『なにぼーっとしてる』
犬の首を撫でながら宮原は言った。
『この犬は私の使い魔だ。これが視(み)える時点で、お前には私の特別授業を受ける資格ができた』
使い魔。特別授業。資格。
訳のわからない言葉が頭を巡る。
『いりませんよ、そんな資格』
得体の知れないものには近づかない方が無難だ。
そう思って突っ返すと、宮原は呟くように言った。
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