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『そうか。強くなる気はないのか』
『え…』
聞き捨てならない言葉を聞いた気がして、夕斗は瞳を揺らした。
――強く、なる…?
『それはどういう……』
『知りたければ、私に従え』
そう言って、彼女は夕斗に手を差し延べた。
『お前に霊と戦う術(すべ)を与えてやる。お前はもっと強くなれる』
『――――』
――戦う術…。
求めていた強さを、得られるような気がした。
今まで、誰も教えてくれなかった戦う術。それを宮原は、教えてくれるとでもいうのか。
――それなら。
夕斗は、宮原に手を伸ばした。
そして、迷わずその手を掴む。
『強くなりたい……!』
夕暮れ時の屋上に、少年の切実な声が響いた。
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