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水曜日。
いつものように教科書をいれた黒いリュックを背負って、夕斗は通学路を学校に向かって歩いていた。
ここは都会ではないので、車はそこまでやかましくなく、朝は静かな方だ。
かといって田舎でもないので、7時半になれば何台もの車が道路を流れていく。
そんな道路の脇にある歩道を、夕斗はとぼとぼと歩いていた。
襟足につかない長さの黒髪が、風に吹かれて乱される。
それを手で直していると、後ろから元気のいい足音が聞こえてきた。
振り向かなくとも、それが威勢のいいツンツン頭の少年であることが夕斗にはわかっている。
いつもこの時間帯に会う、クラスメイトの坂木剣悟(さかきけんご)だ。
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