転校生と幽霊トンネル

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「おはよー夕斗!」 「ああ」 元気にあいさつしてくる剣悟にそれだけを返し、夕斗は無言で学校を目指す。 夕斗が転校してきたばかりの頃は、剣悟は不満げに「あいさつくらいしろよ」と言ってきたが、さすがに毎日これだから慣れてしまったらしい。 今では夕斗が聞いていなくてもひとりでしゃべっている始末だ。 慣れたというよりは、図太くなったという表現の方が正しい。 「なあなあ聞いたか?」 ワックスを使っているわけではないのに立っている髪を風に揺らして、剣悟は目を輝かせる。 「何をだよ?」 朝からテンションをハイにして聞いてくる剣悟に、夕斗は面倒臭げに問い返した。 夜行性の夕斗にとって朝はなにかと気分が乗らないものであり、朝昼問わずテンションの高い剣悟を相手にするのは面倒なのだ。
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