転校生と幽霊トンネル

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しかしその比古が何度か同じことを繰り返した時、彼は突然崩れ落ちた。 「おい!」 ――いったい何が!? さすがに焦った夕斗だったが、比古が戦闘不能になったことに歓喜した霊たちが群がってくる。 ここで夕斗まで戦いを放棄したら一巻の終わりだ。 無数の霊体が迫ってきた。 それが視えない剣悟は、いきなり坐り込んだ比古の肩を支えるだけ。 ――これだからお前は…。 ナイフを握る夕斗の手に、必要以上の力が篭った。 ――嫌いだ。 大嫌いだ。 何も知らずに屈託なく笑う、同年代の子どもは。 綺麗な世界しか見えていない無邪気な子どもが、夕斗は大嫌いだった。
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