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自分が視ている世界はこんなにも怖くて不気味で醜(みにく)いのに。
物心つく前から、この世界しか知らないのに。
綺麗な世界を見ている子どもは気楽で無邪気で、何も知らない。
だから、大嫌いだった。
――でも。
『俺たち親友だから』
屈託のない笑顔が、消えない。
「八百万(やおよろず)の神々よ、我の声を聞こし召せ。群がる霊たちを掃い導き賜(たま)えと畏(かしこ)み畏み拝み奉(まつ)らく!」
夕斗は全霊を解き放つ覚悟を決めた。
――もう亡くさない。
もう二度と、大切な人を亡くしたくはない。
ナイフと霊の手と、呪文と霊圧と。その戦いが繰り返された。
それなのに、滅びても滅びても霊は夕斗に群がり続ける。
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