転校生と幽霊トンネル

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夕斗はナイフを畳んでポケットに押し込んだ。 そして気を失っているひとりの女子に肩を貸し、もうひとりを剣悟に頼む。 そして比古に車に乗るよう促した。 トンネルの霊たちから逃げるなら、今しかない。 後部座席に美玲と渚を担ぎ込み、剣悟と比古が転がり込む。 それと同時に夕斗は助手席に着いた。 宮原は自称魔術師兼5年3組の担任だ。 髪を下ろした優しい宮原しか見たことのない剣悟と比古は、彼女に拾ってもらえたことに安堵の息を漏らした。 しかし、夕斗だけは冷や汗を浮かべている。 何故なら、今の宮原の髪型は優しい時のそれではないからだ。 ――ってことは……。 夕斗がごくりと唾を飲み込んだ瞬間。
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