転校生と幽霊トンネル

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車はトンネルのど真ん中で急停車する。 「わあっ…ぐっ」 シートベルト不着用のためふっ飛ばされかけた夕斗を、宮原の手が無造作に押さえつけた。 ちなみに後ろの剣悟と比古は前のシートに激突。 美玲と渚は彼らの足元に転がった。 それでも起きないところを見ると、ある意味彼女たちはツワモノである。 「私が片付けるまで出るなよ」 そう言い残して、宮原は車の外に出た。 目の前に広がる闇を恐れず、そこに漂う霊すらも恐れず、彼女は上を見上げる。 そこに、最初の霊がいるのだ。 このトンネルを魔界へと変えた、ずぶ濡れの女の霊が。 ゾクリと、夕斗の背を悪寒が駆け上がった。 夏に死んだのだろうか。 長い黒髪の、ひらひらした赤いワンピースを着た女が宙に浮いている。
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